年上王子の不器用な恋心
敏感な粘膜を少しざらついた舌先が縦横無尽になぞり、身体が甘く痺れる。
「……ん、ふっ……んぅ」
舌を絡めるようなキスがこんなにも気持ちのいいものだとは思わなかった。
服を脱がされ、千尋くんは至る所に唇を寄せてきて、器用な指先が私の肌を愛撫していく。
胸の頂を口に含まれ、反対側は弾力を確かめる様に膨らみを大きな手で揉まれた。
「やっ……あぁっ、」
止めどもなく聞こえる淫らな声が、自分の口から出ているなんて信じられない。
千尋くんから与えられるすべての刺激が快感に変わっていき、とろとろに溶かされる。
服を脱いだ千尋くんの身体は、細身なのにほどよく筋肉がついていて目のやり場に困る。
でも、そんなことを思ったのは一瞬だけ。
あとは何も考えられないぐらい千尋くんに溺れていた。
「あゆ、いいか?」
余裕のない顔で言われ、ドキッと心臓が跳ねた。
普段、クールで涼し気な顔をしている千尋くんがこんな顔をするなんて。
私が頷くと、ゆっくりと入り口が押し広げられ千尋くんの熱が入ってきた。
最初、千尋くんは私の反応を確かめながら控えめに動いていたけど、気が付けば貪るように求められていた。
それからは、ほとんど覚えていない。
私は千尋くんのぬくもりがこの上なく愛しく感じ、目の前の身体に必死にしがみつくしかできなかった。
好きな人に抱かれる喜びを知り、私は大人の階段を上った。