年上王子の不器用な恋心
「いや、俺はそんな大したことはしてないよ」
内藤くんは謙遜する。
私への報告と内藤くんなお礼を伝えるために今日は集まったのかと理解した。
でも、松田くんも内藤くんもよく知らない私が同じテーブルにいるのは違和感がある。
私は学生時代、クラスの男子と話すことがほとんどなかった。
挨拶程度ぐらいはしたかな?という程度。
私は目立つ存在ではなかったし、千尋くん一筋だったから同い年の男子に全く興味がなかったんだ。
この前の同窓会も亜樹が誘ってきたから行っただけで、その時もあまり男子と話さなかった。
そう言えば、内藤くんが話しかけてくれたっけ。
「一ノ瀬さんはもう仕事してるんだよね」
松田くんが聞いてきた。
「うん。私は短大に行ってたからね。卒業して就職したよ」
私以外の三人はまだ大学生で、男性陣に関しては実家暮らしという共通点しかない。
みんなたくさんバイトの予定を入れていたり、私の仕事の都合もあったりで空いている日を調整するのが難しかったと亜樹が言っていた。
「やっぱり大変?」
「まぁ、それなりにね。私はバイトから正社員になったから、仕事の流れは身に付いているからね。それでも、バイト時代に比べたらやることも増えて大変かも」
「そっか」
松田くんは聞き上手だし、優しい雰囲気のある人だから話しやすい。
亜樹もこんなところに惹かれたのかな。