私が素直になったとき……君の甘過ぎる溺愛が止まらない



「遥稀は?」


 美しく透き通ったグリーンのカクテル。
 それを一口飲んだ、松尾。
 その後、私に何かを問いかける。


 そのとき私は。
 美しく透き通ったピンク色のカクテルを一口飲んだところだった。


「……してるの?」


 ……?


「……結婚……」


 えっ……⁉


 松尾、何でそんなこと訊くの⁉

 結婚していたら合コンなんて参加していないよ⁉


 って。

 そっかぁ。

 そうだよね。

 結婚していないから。
 参加したんだよね。
 松尾も。


「してないよ」


 そう思いながら返答した。


「そっかぁ。
 ……じゃあ……」


 ……?

 じゃあ……?


「……彼氏……は?」


 ……松尾……?


「いない、よ」


 今日の松尾、どうしたのだろう。

 そう思いながら返答した。


 確かに。
 彼氏がいるのに合コンに参加したら、あまり印象は良くない、よね。


「……松尾は……?」


 だから。


「……彼女……いるの……?」


 私も。
 松尾にそう訊いてみた。


 今日の私。
 本当にどうしたのだろう。

 十五年前の私は松尾にそういう質問はできなかった。


「いないよ」


 なんでだろう。


「そうなんだ」


 今。
 ほっとしている自分がいる。


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