お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
名前、呼び……?
碧、その子と仲良いの……?
そんなことを思ったあと、わたしはすぐに思い出した。
わたしは見た。
あのおさげの子が碧と教室内で話しているところを。
あの子は、碧から傘を借りた子。
傘を返しているところを見たから、絶対そう。
それで、仲良くなったとか……?
仲良くなったから、“里古さん”って名前で呼んだの?
……わたしのことは、名前で呼んでくれないくせに。
心の中がもやもやして、穏やかではいられなくなって。
結局は声をかけず、体育館へと戻った。