お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。


「美味しいなら、飾らないでちゃんと食べてね」
「……1枚だけ、飾るのはだめですか?」


飾るなんてことをしたら、カビが生えそうだから言ったんだけど……碧はお願いするようにこっちを見てくる。

そんなに飾りたいのだろうか。
まぁ、そんな顔をしてもだめなものはだめなんだけど。


「だめ。ちゃんと食べてね」
「……お嬢がそう言うなら、飾りたい気持ちをおさえます。大切に食べますね」


少し寂しそうに返事をした彼。


今すぐは無理だと思うけど……1人でお菓子を作れるようになりたい、と強く思った。


そして、今度は1人で作ったものを碧にあげて、喜んでもらえたらいいなぁ。

先は遠いだろうけど、少しずつ頑張ろう。


そう思って、自分の部屋へと戻った。


< 130 / 431 >

この作品をシェア

pagetop