お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。




──先輩の呼び出しということもあり、怖くて断れなかったわたしはついて行くと。


「あんた、男いるんでょ?なに健ともベタベタしてんの?ブスのくせに生意気なんだよ」


生物室に到着して、すぐに鋭い目つきで睨みつけられた。


その数秒後。
『あの人、よくないニオイがします。一応用心してください』と以前、碧に言われたのを思い出したわたし。


……碧はすごい。
本当に、危ない人だったよ……。


ここに来たことをひどく後悔。


この生物室にいるのは、わたしを睨みつける茶髪の先輩とわたし……それから、見ているだけの男性2人。


ちらりとサンダルを見れば、茶髪の先輩と同じサンダルの色で。
2人の男性はにやりと嫌な目つきでこっちを見ていた。


「よそ見してんじゃねぇよ!ブス!」


茶髪の先輩は大きな声で怒鳴る。


「ご、ごめんなさい……っ!」


ガンっ、と強く椅子を蹴るからすぐに謝罪。


少女マンガでこんなシーンを見たことある、けど、まさか自分がこんな目にあう日がくるとは思いもしなかった。

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