お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。



次に目を開けた時は20時過ぎで、わたしは家にいた。


着ていたのはパジャマで。
自分の部屋には、クラスTシャツや学校の制服、鞄が置いてあった。


……体育祭!
……は、もう終わっちゃったか。途中で帰るなんて迷惑なことしちゃった……。
今度、ちゃんと謝ろう。


起き上がろうとすれば、今度はちゃんと体が動く。
碧に会いたくて、軽く部屋着に着替えて自分の部屋を出ると……。



部屋の襖の前に座っていた、だれか。







「お嬢!起きたんですね!体はどこも痛くないですか!?」


座っていた人物は勢いよく立ち上がり、わたしを心配そうに見つめる。


──座っていた人物は、黒服姿の碧だった。


「大丈夫」


わたしはそう答えてから、碧に抱きついた。
……強く、強く。


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