お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。


ゆっくり目を閉じれば、唇はすぐに離れて。


「茉白、口開けて……」


聞こえてきた声。


……口?
……なにするの?


疑問に思いながらもほんの少しだけ口を開けば、まさかの。

彼はまた、唇を重ねてきて……開いた口に、自分の舌を差し込んできた。





「……んんっ!?」


溶けてしまいそうなほどあつい熱。
口内にそれが入れば、わたしのものと絡み合って……さらに体温を上昇させていく。


な、なんか……すごいキス!


漏れるお互いの熱い息。
口内でそれは激しく絡み合って。


どうすればいいのかわからなくて、彼のシャツをつかんで身を任せた。


熱くて、目の奥が熱くなって……──数秒後には、離れていく。





唇が離れると、乱れる息。
碧も少し息を乱し、整えながらわたしの頬を優しく撫でてくれた。


「……苦しかった?」
「キスのしかた、よくわからくて……。碧、教えて……」


じっと碧を見つめれば、なぜかぱっと逸らされた瞳。

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