双子を身ごもったら、御曹司の独占溺愛が始まりました
「彼女を自宅まで送ってくれ」

「かしこまりました」

 父に指示された秘書は、すぐに車に乗り込んで美野里の後を追った。

「さて、立ち話もなんだし家に入ろう。昨夜のうちに星奈さんが好きそうなケーキを買っておいたんだ」

「あ、ありがとうございます」

 母とは違い、歓迎モードの父に星奈は動揺している様子。しかし母はいまだに立ち尽くしたまま。
 それに気づいた父は、母に肩をそっと撫でた。

「母さん、結婚とは愛し合う者同士がするものだ。私はなによりも優星の気持ちを大切にしてやりたいんだ。それを一番理解できるのは母さんだろ?」

 父が言っていることは、どういう意味だろうか。

「勝手なことを言わないでください」

 母は父の手を振り払い、足早に家に入っていった。

「すみません、星奈さん。せっかくいらしてくれたのに、こんなことになってしまい」

「いいえ、そんな」

 恐縮する星奈の隣で、俺は気になっていることを切り出した。

「父さん、さっき言っていた母さんが一番理解できるってどういう意味なんだ?」

「それは部屋でゆっくり話そう」

 そう言って家に入っていく父に、俺と星奈はついていくしかなかった。
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