官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました
「……それは、俺と十年先も一緒にいてくれるってこと?」

 どうしよう、何も考えずに口走っていたけれど、あんな言い方したら、そう受け取られても仕方がない。

「えっと……」

 どう言えばいいのかわからなくてまごついていると、貴裕さんはふいに微笑んで、ぽんっと私の頭に触れた。

「いいんだ、急かして悪かった。後でゆっくり話そう。今日は時間ならたくさんあるんだし」

「……うん」

「行こう」

 再び歩き始めたけれど、貴裕さんは手を繋いだまま。

「貴裕さん、手を離して。このままじゃ恥ずかしい……」

「どうして、誰も見ていないだろ」

 私のことなんておかまいなしに、そのまま砂の上を歩いていく。辺りに響くのは寄せては返す波の音だけ。まるで世界に二人きりのようで、私はずっとドキドキしていた。


 鈴島は手つかずの自然が残っている島だけれど、観光客が歩きやすいよう、遊歩道が整備されている。島に入ってすぐのところに、展望台に続く階段がある。まずはこれを上ってみようということになった。

「美海、気をつけて」

 遊歩道の階段は段差はそれほどでもないけれど、一段の幅が広く歩きにくい。数歩先を歩いていた貴裕さんが、私に向かって手を差し出してくれた。

「ありがとう」

 少しためらったけれど、今度は素直に彼の手を取った、それを、貴裕さんは満足そうな顔で眺めている。

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