狂犬に愛される覚悟
「犬だって~!」
「可愛いぃ~!
だったら、鳴いてみろよ!
“ワンワン”って!」
男達がバカにしたように、笑い続けている。

「零王、やっぱ帰ろ?」
「愛妃、買い物しててくれる?
俺はコイツ等と、ここで待ってるから。
大丈夫だよ。絶対中には入れさせないから」
「う、うん…」
愛妃が中に入ったのを確認した零王は、男達に向き直った。

「あっちで話そうワン!」
男達をコンビニから少し離れたとこに誘導する。
「で、あんま時間がないから一発ずつだワン!」
ガン━━━!
ゴン━━━!
バキッ━━━!
「うっ…!
あがっ…!」
「なんだ……お前…」
「ゼロだワン!」
「え……ま、まさか…!?」
「安西 零王?」
「ワン……」

「ま、マジかよ…!?
ヤベーよ!!」
「コイツのこと、知ってんの?」
「お前、知らねぇの…!?
“ゼロ”って言ったら、この辺では有名なんだよ!
気にいらねぇ奴は、ボコボコになぶり殺すんだ。
相手がどんなに懇願しても、死ぬ一歩手前まで許さないんだ。
岩木組の組長でさえ、恐れて逆らえねぇんだから」
「マジかよ…!?」

「ねぇ…煙草、持ってない?」
「え?」
「煙、草!ほんとはコンビニで買おうとしたんだけど、お前等のせいでコンビニ入れないから」
「俺達もありません!」

「…………ねぇ…もう一発ずついい?」
「え……」
「なんか…よくわかんねぇけど、ムカつく!」
「は?」
「別にいいよ、抵抗しても…!
その方がやりがいあるし!」
「もう許してくれ…」
「は?許しを乞うのは、無駄だよ。
元々お前等が、愛妃に話しかけたんだから。
それに言ったよな?
退いてよって!」
「すみませんでした!」
「だから━━━━━」

「零王!!」
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