キミに贈る言葉
幸せなような、悪夢をずっと見ている。
だけど夢がどんどん明るくなってきて暗い空間に光が差してきた。
…眩しい…
太陽みたい。
優しくて暖かい光…
いつもみんなに求められていて、優しく辺りを照らしてくれる、そんな光。
この光を、私は知ってる。
この光をいつも身に纏っている、そんな暖かい人を。
この光に照らされたくなくてずっと距離を取ろうとしてた。
でもそんな太陽の光は私をしっかりと暖かくも時に強引で、丁度いい温度で私を照らしてくれてる。
…笹川さん…
この光をいつも纏っている人。
あなたのような素敵な人に照らしてもらえるほど私はできた人間じゃないのに…
出会いたくなかった…
けど出会えてよかった、そんな風に思わせてくれる。
「…っ…」
気づいた時、私の目からは涙が流れていた。
「…?!一花?!」
ゆっくり視線を動かすとお母さんとお父さん、そして生意気な妹の二葉。
3人とも目を真っ赤に腫らして私を覗き込む。
「…お、とうさん…」
「なんだ?どうした一花?」
「…しご、と…行かなきゃ…だめでしょ…」
お父さんは堪えていた涙が咳を切ったかのように大泣きし始めた。
そんなお父さんの背中をお母さんが少し笑いながらさする。
「…いつもの一花だ…」
「お姉ちゃんらしいや…」
号泣して私の手を握る二葉。
手が震えていて離さない。
なんだかんだ言って可愛くてお姉ちゃん思いのいい妹。
「…ただいま…」
「お帰りなさい、一花…」
…勇太、暗闇の中でずっと一緒にいてくれてありがとう。
夢だからかも知れないけど自然と勇太を求めていたみたいだね。
ごめんね、勇太…
あなたを忘れることはできない…
ずっと、永遠に私の心の中で支えとして居てくれているから…
でも、まだ私はあなたのところへは行けない。
だからその時がきたら、迎えにきてね。

数日後、無事に退院した私は会社に出社することにした。
「…おはようございます。」
「宮川さん?!もう来て大丈夫なのか?!」
すぐさま部長が駆け寄ってくる。
その後ろから心配そうな顔をして笹川さんも来ている。
…この人はこんな暗い顔より、いつもみたいにキラキラ笑顔の方がずっといいな。
この人にこんな暗い顔は似合わない。
「…ご迷惑をお掛けしました。
もう大丈夫です。
…がまだ目覚めて日が浅いので少しでも体調崩れてきたら早退させていただきます。」
「もちろんだ。言ってくれ!」
部長がニカッと笑って私も自然と頬が緩んだ。
「…あ、ご迷惑お掛けしましたので、つまらないものですが、総務の皆さんで食べてください。」
迷惑をかけた分、少しお高めのお菓子の詰め合わせを買った。
「気にしなくてよかったのに…
こちらこそ、キミの仕事量を把握できてなくて申し訳なかった。」
部長が改めて私に頭を下げようとする。
それを慌てて止める。
「頭は下げないでください。
私は一社員です。仕事をするのが当たり前なので。」
会社に給料をもらっている以上、その分働いて返すのが社会人だろう。
そんなつまらないことで頭を下げるのはやめてほしい。
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