キミに贈る言葉
全てわかった上で聞いてくれようとしている。
「…ありがとう、お母さん…」
「聞き代は二葉に勉強教えてくれることでいいから。」
「…わかった。」
友達だろうが、家族だろうが。
私に笑顔はない。
これも2年前からだ。
勇太が亡くなってから。
私にとって笑顔を作ることが難しすぎてずっと無表情になってしまった。
勇太が亡くなってしまったのは私のせいだから…

「ー…はい、ホットミルク、好きでしょ。」
ご飯もお風呂も二葉への勉強の教えも終わり。
私はお父さんとお母さんとリビングで向かいあわせで座る。
「一花、何を悩んでるのか大体わかるよ。
けど私たちは一花の口から聞きたい。
ゆっくりでいいから、話してみて?」
「…簡潔に言うと。
お金が無いの…
別に生活費は払えてるし家賃の滞納、とかでもない。」
「うん」
「…私…」
…ダメだ、やっぱり言えない。
親だから、わかってくれるとはいえ、お金の無心に来てるみたいで恥ずかしくなってきた。
「…ごめん、やっぱりなんでもない。」
挙句の果てには親にまで隠し事。
嘘偽りで自分を塗り固めて閉じこもる日々。
「…病気、治したいと思ってるんでしょ?」
「…」
私は静かに頷く。
「やっと自分から治したいと思ってくれたんだね。
今まで生きることも嫌ってなってたから言わなかったけど一花から言うの初めてよ。
治すためのお金がないってことでしょう。
それくらい親に頼りなさい。」
親に縋り付けたらどれだけいいか。
私は昔から頼ることが苦手だ。
私が頼ることができたのは彼だけ。
「一花、頼っていいの。
治したいんでしょ?普通に憧れてるんでしょ?」
せめて、せめて…
白血病だけでも治したい。
今のままでも死ぬことはないけど、このまま進行していったらいずれ死んでしまう。
精神病もそうだけど私は聴覚障害も持ってる。
感音性難聴。
高音が聞こえなくて低音すぎる音も聞こえない。
しまいには人が同時に話してるとある程度聞き分けることができるはずなのにそれができない。
私の場合は通話ができない。
機械通してしまうとどうしても聞こえなくて…補聴器がないとできない。
「耳と心はもういいから…せめてこの弱い体から解放されたい。
この弱い体のせいで、彼が…勇太が死んでしまったようなものだから…」
「一花、それは違う
勇太くんのことは確かに残念だったけど、あの時発作起こすのわかってたのに薬持たせなかったお母さんの責任だから。
それにあの時はトラックの余所見もあったでしょ?
不幸に不幸が重なってしまったの。
一花のせいじゃない。」
…あの時発作になってしまうくらい脆い私の体が悪い。
< 6 / 32 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop