レインコートもいいけど、傘は必要


 先端恐怖症?耳を疑ったけど、理由はだいたいわかってる。


 雨が振る中を、傘もささずにレインコートを着て歩いてたからだ。

 学校を出て、駅に向け一人で下校してる姿をクラスメイトの誰かに見られてしまったようね。


 梅雨の時期は、嫌になるほど毎日のように雨が振る。

 放課後、私は人目を避けるように下校したいので、遅くまで教室に残って時間をつぶしていた。


 生徒の姿が少なくなってきた時間帯に、私は帰り支度を始める。

 今日は一年生合同の委員会議があったので、いつもより遅くなって好都合。

 生徒玄関を出た所にある屋根の軒下で、素早くレインコートを着込む。

 私は顔を隠すようにフードを深く被り、雨に打たれながら駅に向かって歩き出す。



 その時、背後から視線を感じた。

 電車内と同じ感覚、たぶん学級委員長のカレだろう。


 振り返ると、大きな高級傘をさした星野くんが立っていた。

 やっぱり……




 私は彼を無視して、レインコート姿で雨に打たれながら駅を目指した……






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