君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
Prologue



「誰にも渡さない」


 大きくて温かい手が、三つ編みを結っているヘアゴムに触れる。

 左右順番にそれを解き、癖のついた髪を指で梳いていく。

 守るように後頭部に手を添え、壊れ物を慎重に扱うような手つきでベッドに横にされると、愛しい人の熱い視線に鼓動が高鳴るのを感じた。


舞花(まいか)


 私の名前を呼ぶ大好きな声。

 近づく距離にそっと目を瞑る。

 すぐにキスが落とされ、舌で閉じている唇を開かれた。


「……っ、ん──」


 口づけを終えた唇が耳珠に触れ、首筋をなぞる。

 瞑った真っ黒な視界の中で、突然チカッと閃光が走った。

< 1 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop