双子の兄の身代わりになった妹の人生【短編】
「レイス、だからか。なぜアリーシャではないエミリーをと思ったが、そう言うことか……」

 その時、私は思ってしまったのだ。
 一度でいいから、リューと呼びたいと。
 あの頃恥ずかしくて、一度もリューって呼ぶことができなかった。だけれど、今なら……エミリーとしてならリューと愛しい人の名前を愛称で呼べるのではないかと。
 例え、アンドリュー様の思いがエミリーにはなくとも。
 そして、欲張ってしまったのだ。
 アンドリュー様に触れたいと。
 もう、二度と触れることはなかったであろうその手に……。
 留学して半年。
「駄目だよ、エミリー。僕は……君への思いを止められなくなってしまう」
「リュー様……レイス様はもう、別の方のものになってしまいました。ルビー王国で頼れる方は、もうリュー様しかいません……リュー様」
 お兄様がなくなった時、レイシアも死んだ。
 アンドリュー様への思いも、その時に殺したはずだった。
 だけれど。
 遠い異国で別人として出会ってしまった。
 叶うことなら、ああ、神様。
 彼の子が産みたいのです。
 子を……宿したと分かったのはそれから半年後。
 分かったと同時に、レイス様の気持ちが戻ったとよりを戻し帰国するという形でアンドリュー様に別れを告げた。
 そうして授かった男児は、レイスとエミリーの子として大切に育てている。
 エミリオとレイシアで。
 私は欲張りだから。
 エミリオに夫として側にいてほしかった。
「レイシア」
 エミリーとなった私の本当の名を呼んでくれるのは、もうエミリオだけだから。
 そして、一生兄の影武者として生活しなければならなくなったエミリオの名を呼んであげられるのも私だけなのだから。








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じっくりこの半年間のことなど書きたかったのですが、ちょっと執筆の時間が思うように確保できず、中途半端に次の更新まで間が空くよりはと、ラストまであらすじみたいな感じになりましたが終わっておきます。
ご覧いただきありがとうございました。感想などいただけると嬉しいです。
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