浮気 × 浮気
ーーーー今から遡ること約7年前。
私と秋本陸は同じ大学に通っていて、テニスサークルの同級生でもあった。
当時、秋本陸の女子人気は高く、私もその例外ではなかった。
テニスサークルに入ったのも秋本陸がいるから、という理由だけだった。
しかし、そのテニスサークルはありえないほどキツく厳しいサークルで、私と同じように秋本陸目当てで入った女子たちは、あっさりと辞めていった。
でも、私は絶対に辞めなかった。
1度やると決めたことは最後までやり抜くというのが私のポリシーだったからだ。
ほぼ毎日ある強制参加の厳しい練習。
そして大学生テニス大会への強制出場。
テニスラケットを大学に入って初めて触った私にとって、それは過酷すぎるものだった。
けれど、そんな過酷すぎる状態と引き換えに、秋本陸と私は徐々に距離を詰めていった。
「山下さん、ナイスファイト!」
そう言って私に笑顔を向けてくれることが、とても嬉しかった。