浮気 × 浮気

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明里と付き合って6年目の記念日。


俺はこの日、会社から半日休暇を頂いていた。理由は、明里にサプライズをする為だ。


お昼前に切りあがらせてもらった俺は、サプライズをする予定で予め取っておいたホテルの部屋の鍵を明里に渡すべく、急いで明里の会社へと向かっていた。

今からタクシーで行けば、明里のお昼休憩が終わる前には必ず間に合うと思ったからだ。

俺の考えは正しく、やっぱり休憩が終わる前に明里の会社の玄関前に辿り着いた。


俺は急いで明里に電話を掛けようと鞄の中を漁った。そして携帯を見つけ、手に持った時、ふいに肩を叩かれた。

顔を上げ、そちらに視線をやれば、そこに立っていたのは、ショートヘアの色白な女性だった。


「誰かお待ちですか?」


親切にもそう訪ねて来て貰えたが、特に頼める事はなかったので、お辞儀だけしてその場を立ち去ろうとした。

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