【完】狂犬は欲望中毒。





それは困る……。


私の知らないところで、左和季君が有栖川さんに迫られているところを想像しただけでも耐えられない!!



「さっ、左和季くん!!
 左和季君は私が守るからねっ」


「……なに言ってんだお前。
 つか美喜矢も余計なこと小羽に言うな、からかいすぎだ」


「僕は本当のこと言っただけじゃん」



美喜矢君の言葉に思考がグルグルしてきた。


その思考を押さえつけるかの様に、私の頭にヘルメットを軽く被せる左和季君。



不安で歪む顔も、フルフェイスヘルメットのおかげで上手く隠せてはいるけど。



バイクが動くと同時に、隠せない胸騒ぎから嫌な予感がする。



どうか……何事もありませんように。



やっと雲から顔を出した月明かりに導かれながら、不安を消し去りたくてただひたすらに祈っていた。









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