離してよ、牙城くん。
だけど、どうしてか謝れなかった。
謝ったら、わたしを甘やかしてくれる牙城くんに失礼な気がした。
「最近は、淡路くんにも手出してるんでしょ……っ? いい加減にしなよ!」
なんにも言い返せなくて、悔しくて、唇を噛んだ。
感情が抑えきれなくなった佐藤さんを、慌てて2人が制しているのが見える。
……淡路くんにも、わたしのせいで迷惑がかかっちゃった。
否定しようと口を開いたものの、これ以上彼女を怒らせるのは正しくない気がして、やめた。
叩かれた頰はだんだん痛みがひどくなってくるし、どうしたらいいのかわからない。
すると、付き添いの2人が、佐藤さんの肩に手を添え、首を横に振った。
「……アヤメ、そのへんにしときな」
「じゃないと、アヤメがどんどん悪者になっちゃう」