離してよ、牙城くん。
「百々ちゃんさー……、心臓の音、やばくね?」
そんなことを言ってきたと思えば、くつくつと笑っている牙城くん。
わかってるなら知らないふりしてくれたらいいのに、なんて意地悪なんだ。
「う、る……さいっ! がじょーくんのせいっ!」
「へえ、ただ近づいてるだけでこんなんなるとか、百々ちゃん俺とキスなんてできねえな?」
「あ、う〜〜っ、……もう、ぜったいしない!」
「やぁだ。俺、さっき言ったでしょ」
「ひゃっ……」
グッと顔をまたもや近づけられ、鼻と鼻がぶつかる距離。
わたしを見つめる牙城くんの瞳は、獲物を見つけた狼のようで。
わたしはまんまと、手懐けた猛獣に捕らわれて、食べられてしまうのだ。
「我慢できないの、ごめんね?」
こんなの、……ぜったい確信犯。