離してよ、牙城くん。



ふと、先日、お母さんとしていた会話を思い出した。



──── 『なんだか最近、仕送りが多いのよねえ……』





お父さんからの仕送りが多いと不思議そうに嘆いていたお母さん。

あのときはお父さんが気を遣って入れてくれていたとばかり思っていたけれど。





まさか、それって……。





力なく微笑む七々ちゃんを見て、……涙が、溢れ出る。








「……お父さんにだけ事情を話して、お父さんの口座から働いてもらったお金を入れていたの。……あ、働いていたのは危ないお店じゃないよ。
祥華の経営しているバーで、雇ってもらっていたの」




そのときに、……弱っていたわたしを、祥華が支えてくれたの。



七々ちゃんの言葉に、牙城くんが、ゆっくりとしゃがみ込んだ。




……ただの、浮気ではなかった。


牙城くんも、七々ちゃんの不良になった理由を知らなかったのか、立てる状況ではなくなっていて。






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