離してよ、牙城くん。



景野さんは、惚れっぽい彼らにもう諦めたのか、「もうなんでもいいわ、なんでも」と言い放ち、なにやら七々ちゃんとイチャイチャしている。


総長のオーケーが出れば、目を輝かせる【相楽】の人たち。

もちろん、お誘いはとってもとっても嬉しいし、後日また誘ってもらえたらなあって……思うんだけど。



……今日は、牙城くんにどうしても伝えたいことがあるから、ごめんなさい、しないとね。



椎名さんが「モモチャン、モテモテ〜」とにやにやしているけれど。

淡路くんが「朝倉さん、俺ともどっか行こうね」と爽やかに誘ってくるけれど。




わたしは……、少し遠くにいる牙城くんのドス黒いオーラがとてつもなく怖いのですが……。





わたしが断ろうと口を開いた瞬間、やはり牙城くんがわたしのもとにやって来て。








「俺の可愛い百々ちゃんは、だれにもやんねえよ。バァーーーカ」









突如、お姫様抱っこをしてわたしを持ちあげた牙城くんは、呆気にとられる【相楽】のメンバーに舌を出した。



……だから、牙城くん。

不意打ちはずるいって、何度言ったらわかってくれるんですか……?











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