わかりました、結婚しましょう!(原題:橘部長を観察したい!)

02. 橘部長が甘くてびっくりする

「私も会いたかったです。お待たせしてごめんなさい」

 本当に冷えきってるから、急いで鍵を出して家に入り暖房をつける。宮燈さんがコートを脱いだらスーツだったから、また用が済んですぐ新幹線に乗ったのかなと思った。

「体が温まるようにスープ作りましょうか」
「君がいい」
「え?」
「温まるなら、桜がいい」

 相変わらずの無表情で宮燈さんがそう言って、重装備の私の冬服を脱がせていく。油断していて、トレーナーにジーンズという全然色気のない恰好だったから後悔した。「準備してへんとあかんよ」と言っていたなっちゃんはやっぱり正しいと思っていた。
 突然過ぎてなされるがまま。宮燈さんも脱いで、ひんやりした手で触れてくるから、その手を握り返した。

「いつから待ってました?」

 答える気がない時は、いつも宮燈さんは無言になる。大学から移動するバスの中でスマホを見たのが最後だったから、もしかしたら、長く待たせたのかもしれない。

「ごめんなさい」
「君はもしかして、お仕置きされたくてわざと私を無視してるのか?」
「ええ? そんなことするわけ……んっ!」

 立ったまま、宮燈さんが身を屈めて唇を重ねてくる。冷たかった。頬も冷たいから両手で包んだ。でも口の中は熱くて、ずっとキスしてると私の身体も火照ってくる。ぼんやりしてるとまたひょいと抱えられてベッドに押し倒された。
 宮燈さんのおかげでふっくらした私の胸。感触を楽しむかのように揉まれたあと、指で尖端をひっかいてくる。

「あっ……あの、ご親戚はもう大丈夫なんですか?」
「持ち直したからな。することもないし、私は君のそばにいる方がいい」

 ちゅ、と軽く耳にキスをされて戸惑った。二人きりになると宮燈さんはいつも甘いけど、今日はさらに甘い気がする。体中を弄ばれてなぶられて息があがる。体も意識もめちゃくちゃに乱れていく。
 宮燈さんは少しだけ嗜虐的な顔で私を見下ろしていた。その視線だけで体の奥がぎゅうっと疼く。
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