わかりました、結婚しましょう!(原題:橘部長を観察したい!)

 寒いけれど、私は宮燈さんの隣に立っていた。通りすがりにハートの石を見つけて喜んでる家族を見て「ああ、あんなにたくさんの人たちが、パートナーと仲良くしていきたいって願ってるんだなあ」とぼんやり思っていた。

「ねえ、宮燈さん。どうして宮燈さんの実のお父様とお母様は別れてしまったんですか? 知ってますか?」

 私がそう言ったら、宮燈さんの手が私の髪に触れた。

「母は、父と別れたあとで私を産んだ。婚外子として」
「婚外子……? お母様は未婚だったのですか?!」

 宮燈さんが頷いて私が真っ先に思ったのは、相手の男はグーでぶん殴るべきだ、という事だった。

「父は手切れ金だけ渡して、私を認知しなかったそうだ。その手切れ金も祖父母が使い込んだらしいが、そんな事、父にはどうでもよかったのだろう。三十年以上お互い、なんの干渉もしてこなかった。それなのに、自分に死期が近づいたら……連絡してきた。そのせいで面倒な事になった」

 その「グーで殴るべき男」は、死ぬ前に自分の子どもに会いたくなったのかな。分からない。二人で黙っていると、宮燈さんの私用の携帯にメッセージが届いた。それを見て、宮燈さんがため息をついた。

「場所を変えよう。契約上、私は話せないが、説明出来る人間が長崎に着いた」
< 142 / 188 >

この作品をシェア

pagetop