わかりました、結婚しましょう!(原題:橘部長を観察したい!)

 ランタンフェスティバルのメイン会場である湊公園には、大小様々な中国提灯(ランタン)が飾られていて私が持っていた「儚い光のランタン」というイメージを派手に壊してくれた。とても賑やかで華やか。屋台もたくさんあって、つい肉まんを買ってしまった。

「こ、これ百円でいいんですか? めちゃくちゃ美味しい~!」

 私がはしゃいでいたら、宮燈さんが少しだけ笑っている。え、好き。

 横断帯を渡った先の中華街にもランタンがたくさん飾られていてとても綺麗だった。
 なんとなく視線を感じるなあと思ったら、通り過ぎる人達が宮燈さんを見ている。そういえば私の夫は美貌の持ち主だった。双葉の支社は長崎にはないけれど、お祭りだから誰に会うか分からない。早めにお店に入った方がいいかなと思って宮燈さんの腕を引いた。

「お店はどこがいいんでしょうか。たくさんあるから迷いますね」
「杉岡さんがもう予約してくれている」
「え?! そうなんですか? 仕事早っ! 秘書の鑑みたいな人ですねえ」

 長崎出身の同僚から、京華園の韮菜拌麺(ニラパンメン)は絶対食べろとすすめられて、杉岡さんは実際に家族旅行で食べたらしい。使ってるのは花韮(はなにら)だから、香りは強くはないと言われて、よくわからなかったけれど「食べたいです!」と笑ったら、やっぱり宮燈さんが少し笑う。

 え? 何? どうしたの? 私はうれしいけど、大盤振る舞い過ぎない? やっぱり夢オチとかいやだよ?
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