わかりました、結婚しましょう!(原題:橘部長を観察したい!)

15. 補う

 目覚めた時、私はバスローブを着ていたから、宮燈さんが着せてくれたんだろうなあと思った。途切れ途切れの意識の中で、私は何度も何度も絶頂していた。フロア貸し切りで良かったなーと改めて思ったくらいに喘いでいた。

 体液でベッドが汚れたんじゃないかと心配したけど、サラサラしているシーツは綺麗だった。私の身体も清拭されたのかべたついたりしていない。……やっぱり寝てる間にいつも何かされてんだな……と思った。
 隣で静かに眠っている夫は、とても美しい。

「くっ……顔がいい……」

 私がそう呟くと、宮燈さんがうっすらと目を開ける。
 空は白みかけていて雲は青い。夜の名残の街灯と、活動を始めた人たちの灯りで、まだ夜景と呼べるものが窓から見えていた。起き上がってテラスを見ていた私の腕を宮燈さんが掴む。

 アルコールが抜けたのか、いつも通り無表情だった。

「おはようございます」
「もう少し寝たい。頭が痛い」
「強くないのに飲むからですよ。ビールも紹興酒も飲んだのに、ワインまで飲んで……」

 くったりしてるのが可愛いから頬にキスをした。無表情だけどちょっと照れてる。可愛い。
 寒くはなかったけど、隣に潜り込んで体をくっつけた。

「二度寝しましょ」

 宮燈さんは何も着てなかったから、胸に唇をあてて、額をすり寄せて甘えていたら、温かくて幸せになった。気持ちいいなと思ってたら急に抱き締められた。

「もう、逃げない?」

「逃げませんよ。宮燈さんが私を大事にしてくれるなら、私は逃げたりしません」

「大事にする、約束する」

「じゃあ、閉じ込めたりしないでくださいね。春から同じ会社で働けるの楽しみにしてますから」

 私がそういうと、宮燈さんが少し笑う。

「閉じ込めたいが、色々な物を見て、怒ったり泣いたり笑ったりする君も見たい……」

「私の夫がまともな思考の持ち主で安心しました!」

 酔うとやべー本性が垣間見えるみたいなので、あんまり飲ませないようにしようと心に誓った。髪にキスされてるからくすぐったい。肩を揺らしてると宮燈さんの体温が上がってる気がした。熱い塊が足に当たってるから手を伸ばして触ってみた。
 うん! 元気に起きてますね! もう少し寝たいんじゃなかったの?
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