永遠に咲け
屋敷に帰りつくと、玄関に仁王立ちした黒谷と中森がいた。

「どこに、いらっしゃったんですか?」
少し怒りを含んだ、中森の言葉。
「どこでもいいだろ?」
「よくないよ、永久。
咲愛様に何かあったらどうすんの?」
「あ?
黒、お前まで…俺に意見すんの?」

黒谷は永久の幼なじみであり、ずっと永久の傍にいる。
暴走族の時も、ヤクザの世界に入った時も、永久は自分の組を持とうとした時も右腕として支えてくれている人物だ。
黒谷は永久に忠実で、基本的に意見しない。
その黒谷が、永久に意見する。
それは永久にとっても、驚きを隠せない。

「自分達の立場を考えてよ!“大河”の人間なんだよ!
俺はね…永久が咲愛様と愛し合うことに、何も口出すつもりない。それが咲愛様の幸せなら。
それに永久が覚悟して決めたことなら、喜んで応援するよ。
俺も、命懸けで二人を守る。
だからその代わり、常に目の届くところにいてって約束したでしょ?」
「僕もです。
永久様、咲愛様。
レストランを出た後、どこに行かれてたんですか?」

黒谷と中森の鋭い目。
永久も鋭い目で睨み、見つめ返している。
「お前等には、関係ねぇよ……!」

睨み合っていた、三人。
張りつめた空気が流れていた。

「ごめんなさい!!」
咲愛の謝罪の言葉で、その空気が緩んだ。
「え……?」
「私が、お兄様にワガママ言ったの!
お兄様は悪くないよ。
ごめんなさい、もう…勝手にいなくなったりしないから」
「咲愛?」
「咲愛様…」
「咲愛様、あなた様を責めているんじゃありません。
ただ…あなた様は自分が“大河”の人間だということを、自覚してください」

「はい…
部屋に、戻るね……」
「咲愛」
「一人にして?お兄様」
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