強引上司は虎視眈々と彼女を狙ってる【7/12番外編追加】
「かんぱーい!」

翼さんの音頭でカチン、と生ビールが並々と入ったジョッキをぶつけ合う音が響く。

夕方6時過ぎの店内はそこそこ賑わっていて、そこかしこから賑やかな声が聞こえてくる。

会社近くにある玄海。

海の幸の美味しい居酒屋で、月1の同期会もここで開かれている。

本当に3人で飲みに来てしまった。
ノー残業デーの水曜日だったため、こんな時間から飲みに来れている。

テーブル席の壁側に私と部長が並んで座り、部長の向かいには翼さん。

同期会の時はいつもお座敷だから、なんだか新鮮。

ぐびぐびぐび。ぷはー!
夏の仕事終わりに飲むビールは格別。


見ると翼さんも豪快にビールを流し込んで、ぷはーとしている。

「ははっ、オヤジ女子が2人」

部長が面白そうに笑う。

「ちょっと藤吾!私は百歩譲っていいとしても、一華ちゃんにオヤジとか失礼!」

ほんっと相変わらずね、と翼さんがじとりと部長を見る。

「いや翼、こいつも立派なオヤジ女子だから。お前と一緒なの」

ニヤリと笑って私の頭をポンポンする部長。

「…えっ、翼さんもオヤジ女子ですか⁉︎私も同期男子に女の皮被ったオヤジ呼ばわりされてて」

自嘲気味に言うと、

「え、なにその藤吾みたいな同期!」

って翼さんがうげっ!って顔をするから笑ってしまった。
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