ねこ先輩に「好き」を伝える方法。
その場に取り残される私。

残っていたのは、クラス店で使う縫いかけの衣装だった。


私たちのクラスは、”コスプレ写真館”をやる。

お客さんが好きなコスプレをして、私たちが写真を撮り、その場で渡す。

そんなクラス店に決まった。

衣装も全て自分たちで作る。

先ほどの彼女たちが縫っていた衣装が床に広がっている。

その横には衣装のデザイン案が置かれていた。


私はその場にしゃがみ、デザイン案をそっと手に取る。


……すごい。

デザインが分かりやすく書き込まれている。

作りかけの衣装、完成させたい。


私の創作意欲がわいてくる。

裁縫は得意だし。

ここまで、細かくデザインが描かれていたら、私にもできると思う。


私は最初の目的をすっかり忘れ、衣装を縫い始めた。


1人での作業。

楽しいわけじゃないけど、つまらなくもない。

好きなことを学校で思い切りやっている感じ。


いつの間にか、私はクラスメイトの視線を気にすることなく、作業に集中していた。
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