ねこ先輩に「好き」を伝える方法。
雨が上がっている……。

雲の隙間から太陽がちらりと見える。


まぶしい。

こんなに空を綺麗だと思ったのは初めてかもしれない。



「芽衣」



奏多先輩が優しく私の名前を呼ぶ。

目が合った私たちは、どちらともなくキスをした。

長いようで短い時間。

心地の良い風が私たちを包み込む。


心臓の音が聞こえる。

私の鼓動?

それとも、奏多先輩の鼓動なの?

多分、お互いの鼓動だと思う。


唇が離れる。

そして、コツン、と奏多先輩の額が私の額とぶつかる。

思わず笑ってしまう。


『幸せだね』


そう言葉にしなくとも、通じ合っている気がした。


だって。

奏多先輩、笑っているから。

空も青く輝いて、太陽が濡れた制服をゆっくり乾かしてくれているから。

こんな贅沢で幸せな時間を、言葉で表すことは出来ない。

だけど、それでいいんだ。

今は、今ある幸せを大事にしたい。
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