ねこ先輩に「好き」を伝える方法。
「頭上げてっ」



私は女の子たちの頭を上げさせる。

顔を上げた彼女の目には涙が溜まっていた。

まだ謝ろうとしている彼女に、私は微笑んだ。



「もう大丈夫だから」

「でもっ、」

「それ以上謝ったら、明日の文化祭、みんなで楽しめなくなっちゃうよ」



謝られるのは好きじゃない。

もちろんその気持ちは嬉しいけれど、それよりみんなで笑い合っていたいから。

悲しかった出来事は、これから塗り変えていけばいい。

私は、そうしたい。



「フランクフルトが涙でしょっぱくなっちゃうよ」



あのとき。

放課後の教室で衣装を縫っていたときの会話を思い出す。

楽しかったあの会話。

『フランクフルトが食べたいよね』って笑い合ったことは忘れられない。

そんな会話をあのときだけの思い出にしたくない。

これからもお喋りしたい。


そう望むのは欲張りなのかな。
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