ねこ先輩に「好き」を伝える方法。
毎日のように雑用を頼まれては、断れない自分がいる。

断ることができないのは私だから、仕方ないと思うけど……。


他のクラスメイトも教室を出ていく中、私は掃除ロッカーからほうきを取り出す。


掃除は嫌いじゃない。

雑用も嫌いじゃない。

花壇の水やりも嫌いじゃない。

嫌いなのは、自分自身。

はっきり断れない自分が好きじゃない。

嫌われるのが怖くて、笑顔を作ってしまう。


だって。

1人でもいいから友達が欲しいもん。

もし、頼まれたことを断ったら、友達どころか話す相手がいなくなっちゃうかもしれない。

……今も、話す相手はいないんだけどね。


声をかけてもらったと思えば、雑用をお願いされるだけ。

分かっている。

自分から話しかけないと、友達ができないことくらい。

断れないままだと、相手のいいように使われてしまうことくらい。


……分かっているんだけど。

その一歩を踏み出すことができなくて、私は曖昧な笑顔を作ってしまう。

心の底から話し合える友達が欲しい。


なんて考えていると、いつの間にか教室の掃除が終わっていた。
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