Grand Duo * グラン・デュオ ―シューベルトは初恋花嫁を諦めない―

 遺言書を桜色の封筒に丁寧に戻したネメはテーブルに置いて、怪訝そうな表情で俺の方へ顔を向ける。須磨寺のために泣いていた彼女は、俺の言いたいことを理解してカッと頬を赤らめる。

「無事に遺言書も見つかったことだし、ふたりきりの夜もまだまだはじまったばかりだ。すこし早い婚前旅行ってことで……」
「っ、婚前旅行? ぁっ、ガウンの紐とらないで……っ!」

 彼女を無防備な状態にして、俺はソファの上で、ネメを堪能するのだった。
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