私が好きになった人は先生でした
「雨宮さんって、方向音痴?」

「えへへ、じつは極度の方向音痴です」

「可愛いね」

「えっ?」


今、可愛いねって言った?

方向音痴のどこが可愛いのだろう?

初めて言われたけど…


「女の子の方向音痴って、可愛いと思うよ」


うーん、よくわからない。


「雨宮さん、モテるでしょ?」

「え?そんな!モテませんよ!」


こんな私がモテるわけない。

モテるなら、今頃彼氏いますよー。


「そんな謙遜しなくていいのに。あ、ついたよ」

「ありがとうございます!助かりました!」

「うん、今度は迷子にならないようにね」


と言いながら笑う東條先生に

「はい、気をつけまーす!先生、また明日!さようなら!」

とだけ言って私は靴を履き替えた。


東條先生のおかげでなんとか帰れそう!

あのままだと、1人学校に取り残されるかと思ったくらいだったし。


それもこれも、戸田先生のせいだ!

戸田先生がくだらないことで呼び出したせいで、私は迷子になったんだから!


明日、文句言ってやろう。

そう心に決めて家に帰った。
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