となりの紀田くん



しばらくの沈黙が続く。




うわぁ………
真顔過ぎるよ桐谷さん!
これ、やらかしたよ!!
どうしよう………




私があたふたと
困惑していると





「あっはははははっ!!」





いきなり笑い出す
桐谷さん…




「な、何!?」




「内倉って、面白いね!!なんか、あんま話したことなかったからよくわかんなかったけど、普通にいい人だわ!」





盛大に笑いながら
私の肩に腕を回す






なんか地味に怖い!!





「あ、ありがと」





な、なんか気に入られた
みたいだから……まあ、いっか。






「あ、やばいよゆあ!もう集合時間になるよ!」





「え、うそっ!?」





「あたしらも行かなきゃじゃん!!」





私たちは大慌てで
部屋を駆け出したーーー




ーーーーーーーーーー





「今日は、ここの旅館の伝統について、女将さんからお話を伺いたいと思います」





うわぁ……
絶対眠くなる
パターンだよこれ!




ってか、既に紀田
寝てるし!!






「はい、みなさんこんにちはー」





「「「こんにちはー」」」





「女将の百合子と申します………こっちが私の娘の杏奈でございます」





「おおきにー」




笑顔で私たちに
挨拶をする杏奈さん





「この子は次期、若女将候補なんです………いま、女将の勉強中で失礼な事があるかもしれませんが…どうか暖かい目で見守ってやって下さい」





百合子さんと
杏奈さんの自己紹介が
終わり………旅館の歴史と
伝統に着いて語り始める





室内中見渡しても
大半の人が目を細めて
寝かけているじゃないか





私もその一人………





話は約二時間に渡って
進行され





「ほな、これで話は終わります……続いて………」




やっと終わった……
ってまだあるんかい!!





「京都名物で、この旅館の最大の見せ物………能と狂言をお見せしたいと思うております」





あーなんか日本史の
授業で習ったなー




出雲の阿国が発端の
舞台劇だとか何だとか……





特に興味はない





私はいつの間にか
本当の眠りに着いていた





まさか………





あんな事件が起こるなんて……






この時の私には
知るよしもなかったーーーーー
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