捨てられママでしたが、天才外科医に独占欲全開で溺愛されています
「俺は千佳以外の人は考えられない。俺は千佳と穏やかに付き合ってきたと思ってた。仕事への理解がお互いにあるし、分かり合ってると思ってた。」

「うん。」

「だから燃えるような恋愛じゃなくて…」

「うん。」

「でもさ、それは間違ってた。炭のようにじっくり燃え尽きない恋愛だった。炭のように火がつくまでに時間がかかり、ついたら消えない恋愛だった。ついてる限り中は高温だよ。消えかけても息がかかればまた真っ赤になるよ。」

「…」

「俺は今でも千佳を愛してる」

「…」

「千佳を愛してるよ。」

「昌也…」

「千佳がいない人生は考えられない。」

「…」

「千佳ともう離れられない。離したくない。」

「昌也…」

「また俺を見てよ、千佳。俺に千佳と智也を幸せにさせる権利を与えてくれよ。」

「…」

「もうすれ違わない。千佳との未来しか見てないから。千佳がいない人生はないから。」

「昌也…」

千佳は泣き始めていた。
そんな姿に驚いたのか智也は俺の手から逃げ出し千佳に駆け寄る。

「ママ。マーマ。」
不安そうに見つめる智也。

「たーい?」

「ううん。いたくないよ。大丈夫よ。」

「いーこ、いーこ」
智也が千佳の頭を撫でる。

「いい子に育ってるな。千佳、頑張ってきたんだな。」

「大変だった…」

「うん。」

「私、妊娠がわかってすぐ昌也に連絡したよ。何度も何度もメールした。返信が来なくてとうとう電話してハッとした。使われてなかったの。」

「うん。」

「私は捨てられたんだと思った。」

「うん。」

「でも、私は昌也の子供が産みたかったの。昌也に捨てられたんだとしても私は昌也が好きだったから産みたかった。」

「ありがとう。智也を産んでくれて。」

「でも、これは私のわがままだから。私のわがままで産んだの。私は昌也に捨てられたんだとしても昌也が好きだから産んだの。昌也のお荷物になりたくないの。」

「どうしてお荷物なの?俺は千佳がいない人生は考えられないって何度も言ってる。千佳と人生歩みたいってボストンに行く前から思ってた。」

「昌也はいいの?勝手に産んだんだよ。」

「当たり前だろ。千佳が大事に守ってくれてたんだろ。」

「うん。昌也の子だから大事に育ててきた。」

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