薄氷
第三章/日々割れ
陽澄はそれから二日間学校を休んだ。

なぜ二日だったかといえば、その史上最悪の日が水曜日だったからだ。木曜、金曜とひたすら家に閉じこもって過ごした。

母親には「体調が悪い」で押し通した。母も祖母も何を思うのか、それ以上詮索してはこなかった。訊かれたところで、なにをどう答えればいいのか…

日中、母親はパート務めに出かけ、祖母までもがシルバー人材センターで紹介してもらったという家事手伝いの仕事に出かけている。二人とも、生活のため懸命に働いているのだ。

しんとした家の中に一人でいると、心底孤独を感じた。

ときおり窓の外から、人の声や車の音が聞こえてくる。
自分がどんな目に遭おうと、世界は平常運転を続けているようだ。

なんでこんなことになってしまったんだろう…途方に暮れながら、ベッドに座りこんで壁を見つめる。
学校には行きたくない。それははっきりしていた。二度と会いたくない相手がいるのだ。

だからといって、これからどうすればいいのか。
< 40 / 130 >

この作品をシェア

pagetop