きらめく星と沈黙の月
「実感なくてさ…」


碧の目が少し潤んでいる。


よかった。


本当に…本当によかった。


碧の、皆の、努力が認められたんだ。


甲子園に行けるんだ。


ジワリ…


目頭が熱くなって慌てて拭う。


仲間に囲まれてキラキラ笑っている碧を見ると、涙が堪えきれなくなる。


“…大丈夫だよ……っ。大丈夫だよ、碧…っ”

“皆わかってるから…。碧は頑張った。誰よりも頑張った。そうでしょ…?”


雨の音に混じって聞こえたあの日の嗚咽。


びしょ濡れになって、震えながら原点を見つめていたあの日の碧。


“初めて部員が…野球が…怖いと思った。俺はもう無理なのに、お前しかいないって目で見られて”

“俺は最後の最後までチームに迷惑をかけつづけたんだ”


マウンドでは隠し通された本音。


碧の心の叫び。
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