きらめく星と沈黙の月
桜子は被害者に対して、被害を“邪魔”だと言った。


俺の夢を勝手に語って。


信じたくなかった。


桜子がこんなことを言うなんて。


「……星矢…」


藍沢のなんとも言えない眼差しが向く。


今のは間違いなく桜子の声だった。


俺のことを呼び捨てで呼ぶ女子は桜子だけ。


桜子がそんなことをすると信じたくない。


でも─。


証拠が残ってる以上、隠蔽の強要は事実なのか…?


「……これ…表沙汰になったらヤバいやつやん」


大雅の余計な一言で、ざわめきに拍車がかかる。


たしかに、これが表沙汰になったらほぼ間違いなく甲子園は無理。


未遂事件だけならまだしも、上級生から隠蔽の強要があったのなら…。


「…くっそ……」


俺らの頑張りは何だったんだよ…っ。


甲子園に行くことだけを目標に、死に物狂いで練習したあの夏秋はなんだったんだよ…っ。
< 529 / 586 >

この作品をシェア

pagetop