好きになってもいいですか? ~訳あり王子様は彼女の心を射止めたい~
「ちゃんと話せたのか?」
「うん。高野君が話してくれて」
「空が?」
「公園にいた大地を高野君が保護してくれて、昨日は高野君の部屋に泊めて話をしてくれたの」
「フーン」

子供の頃やんちゃだった空だから、大地の気持ちもわかるのかもしれないな。
それに、空は礼のことが好きだし。

「萌夏ちゃんの消息は?」
今度は礼の方が聞いてきた。

「まだわからない」
探しているが重要な情報は入ってこない。

「心配ね」
「ああ」

本心では居ても立ってもいられないほど焦っている。
それでも、表には出さない。
俺は、そんな風に育ってしまったから。

「遥って、高野君とは正反対ね」
「そうだな」

かなり似た環境に育ったが、性格的には正反対かもしれない。
空みたいに、自分に正直に生きたいと思うときがある。

「ねえ遥」
「ん?」
「自分を責めたらダメだよ」
「わかってる」

わかっているんだが、喧嘩別れしてしまったことに後悔の念は消えない。
俺にもう少し優しさがあれば、萌夏の言い分を聞いていれば、萌夏はいなくならなかったのかもしれない。
やっぱり、悪いのは俺だ。

「きっと、萌夏ちゃんは無事だから」
「ああ」

どんなことをしても、俺が萌夏を取り戻す。
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