天敵御曹司と今日から子作りはじめます～愛され妊活婚～

「小暮さんはこんな作業までしなくても。私がやります」


申し訳なくなり「すみません」と頭を下げたが、「手が空いている者がやればいい」と彼は微笑む。

正論だけど、役職的に彼より下の山田さんは絶対にやらないよ？


「それで、できた？」
「はい」


小暮さんは私のパソコンの前に歩み寄り、画面を覗き込む。


「これは顕著だな」


彼は人気最下位の講師を指さした。


「はい、驚きました。この講師、一方的に淡々と授業を進めるタイプなんですよね。授業の質はいいのですが、大手予備校からの移籍ですから大教室の感覚なのかもしれません」


高校の授業だったらお昼寝タイムになりそうだなと思いながら話す。


「うーん、生徒との距離が近いのがうちの売りなのに。コミュニケーションをとりながら生徒をやる気にさせるのは重要だ。物理か……。ただでさえ難しくて嫌いな生徒が多いのに」