今日も君に恋焦がれる
「まあ、恋焦がれてなさい」



と琴音は言うけど、焦がれられないのだ。


それから何度も無意識に溢れるため息と共に仕事をなんとかやりこなした。


「こっちまで不幸になりそうよ」と琴音に注意されたけど、それでも溢れるため息が現実。


昼間、食堂で葉山さんと顔を合わせたけど、特に会話もなくお互い頭を少し下げるだけで終わった。


正直今は葉山さんどころではない。



「お疲れ、胡桃」



琴音は軽やかな足取りで先に退社して行った。


デスクを片付け、パソコンの電源を切る。
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