白鳥学園、いきものがかり


***



寝息が聞こえる。
眠ってしまったのは紬だけ。


「………クソッ、」


紬を抱き寄せる鰐渕紘は舌打ちをした。



「こっちの気も知らねぇで…」



息を荒げ、肩に顔を埋めた。
シャツの中で紘の手が動く。

紬を抱きしめる力も強くなった。


「……つむぎ…」


手が上へとあがっていく…、

──────ピタッ、



触れかけた手を止め、深呼吸。


紬から離れ身体を起こした。
髪をぐしゃっと掻き上げる仕草をする。



「……………残り三週間、」



そう呟き、隣にいる紬に視線を向けた。

気持ちよさそうに寝ている紬に紘は思わず笑みを浮かべた。


寝返りをし、仰向けになった紬に紘が覆い被さるように跨った。



「…ようやく、ここまで来たんだ。最後まで我慢してやるよ」



紘はその後で「今はこれだけで辞めといてやる」と付け加えると、紬と唇を交わした。

紬の手首を握る紘の手に力が加わる。

触れただけのキス。
起きる事の無い紬。


「…チッ、次はこんなんじゃねぇからな」


そう言ってまたキスを落とした。



***

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