白鳥学園、いきものがかり

不服で憂鬱な梟



翌朝、

いつもよりちょっぴり眠たい目を開けて、制服に着替えた。


夜更かしって眠たくなるんだね。
でも…全然悪い気はしないや。


「…えっと、どうやるんだっけ?」


最後の最後。
ネクタイを首に掛け動きを止めた。


白鳥学園は学年ごとにネクタイを色分けしている…が。

制服自由に近いからネクタイじゃなく、

リボンに変えている女生徒。
ネクタイすらしない生徒がほとんどだった。


多分、しっかり上まで閉めているの数えるぐらいじゃないかな。



「こうやって…こう?」

「またネクタイで悩んでいるんですか?」



背後からの声に吃驚した。
振り返ると、ドアに寄り掛かる凪の姿。

マスクを外したナギ様である。


「な、なぎ…?」

「おはようございます。紬」


いつの間に…開ける音も全然しなかったけど…。


「貸してください」


慣れた手つきで、あっという間に出来てしまった。


流石スーツが似合う芸能人ランキング上位…でも凪はまだ高校生だし、どちらかと言うと制服なんじゃないのかなって思うのは私だけじゃないよね。


そう言う凪の恰好はちゃんとしたスーツでも、制服でもない。

撮影時にもこんな格好しないであろう、着崩した制服姿。シャツもズボンから出しちゃってる。



「毎回大変なら、リボンでも買いましょうか?」

「ううん。いいの…初めての制服だから、このままで着たくて」



中学生の時は制服着れなくていつもジャージ姿だった。

救急車に運ばれたりしたら、着替えられなくなってしまうから。

でも本当は制服が着たかったの。
だからこうやって通えるの、凄く嬉しい。



「それなら、これからは俺が紬のネクタイを締めますよ。毎日、」



中腰の凪が微笑んだ。

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