冷徹上司の、甘い秘密。



「私のことが好きなら!私の理想の彼氏になってよ!私のことが好きならできるでしょ!?」


「……ハルカ、自分が何言ってるかわかってる?」


「うるさい!うるさいうるさい!」


「ハルカ……」


「女々しいのよ!男のくせに!スイーツ!?ふざけないでよ!その顔と合ってないんだよ!宝の持ち腐れかよ!」



 泣きながら俺を罵るハルカを、俺は無表情で見つめていた。



「もういい!出来ないんなら、もうそんな彼氏いらないから!私の二年間を返せ!もう別れて!」



 そう叫んで、ハルカとはそれっきりだ。


 そしてその数日後。



「飛成君って超甘党らしいよ。イメージと真逆すぎてびっくりしない?」


「わかるー。なんかちょっとガッカリだよね。顔と合ってないって言うかさ……」


「えー?でも可愛くない?そのギャップがいいじゃん。ハルカと別れたなら今フリーだよね?私狙っちゃおっかなー」


「何言ってんの。あんたはあの顔が好きなだけでしょ」


「ひっどーい。でもそれ言ったらハルカだってそうだったじゃん」


「シッ!聞こえるよ!」



 ……全部聞こえてる。


 大学に行くと俺とすれ違う知り合いが皆どこかよそよそしくて。聞こえてくる噂話に俺は耳を塞ぎたくなった。


 もちろんハルカに対しても周りは腫れ物に触るようなものだったが、俺の外見からは想像のできないギャップに、噂は絶えなかった。



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