オスの家政夫、拾いました。1. 洗濯の変態編
「な、な、なにを言うのかと思えば結局下着なの?!あんたどんだけ下着に命かけてるの?!」

「彩響さんがお仕事で立派な結果を出したように、俺も自分のキャリアに忠実になりたいだけです。彩響さんと同じく、俺も自分の仕事を大切にしています。ご安心ください、俺はプロです。どんなパンティーでもブラでも、完璧に手入れいたします。お願いします、彩響さん。俺にあなたの下着に触る許可を与えてください」

熱烈な(下着への)告白は聞くだけで恥ずかしい。彩響は今にも爆発しそうに真っ赤になった顔を冷やして、質問した。

「…どうしても?どうしても、私の下着を洗いたいの?」

「どうしても、です」

はあーと長いため息が自然と流れてくる。もしかしたら、これは男の家政夫さんを雇った日から覚悟するべきことだったのかもしれない。いや、そもそもキャリアうんぬん言われた時点でもう断れない。


――「はあ、お前の仕事?キャリア?どうせ結婚したらやめるんだろう?」

――「女の居場所は会社じゃない、家庭なんだよ。子育ては誰がするんだよ。預ける?お前には母性っていうものが無いのか?」

今まで聞いてきた、数え切れないほどの侮辱。どれだけ頑張っても、どれだけ必死で働いても結局返ってくるのは「女はどうせ結婚したらやめるんだろう」の一言。

でも、今、この人は違う。この人は自分のキャリアを大切に思ってくれる。余計な理由を付けてあれこれ言わない。だからー

「分かりました。…宜しくお願いします」

――だから、断るわけには行けない。

彩響の許可に、寛一さんがしばらく驚いた顔をした。そして、ゆっくりと目尻が動き…

「ありがとう御座います、彩響さん!」

彼は、今までこの家で一回も見たことの無い、最高の笑顔を見せた。あまりにもギャップのあるその笑顔に、彩響の心は更に複雑になっていった。

「はあ…」

執念深い家政夫、目的達成。

そして雇い主はただただ苦笑いをするだけだった。

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