オスの家政夫、拾いました。1. 洗濯の変態編
「おい、峯野」


振り向くとすぐ隣に大山編集長が立っている。パーティでの出来事以来、なるべく関わらないよう注意していたが…直接来ると避ける余地もない。


「何でしょう、編集長」

「お前、本木先生からメール貰ったらしいな。褒めてやるぞ」

「いいえ、恐縮です」

「まあ、お前が有能なのは知ってるさ。だから俺も向こうに言ってあげたぞ。『うちの峯野はとても優秀です』、ってな」

「…!」

肩を叩いていた手がさらっと胸に下りてきた。びっくりして顔を上げると、編集長は何もなかったように手を引く。気持ち悪い微笑を見せると、彼が皆に言った。


「皆の衆、今月もよろしく頼んだぞ!又いい実績出すこと期待しているからな。…な、峯野?」

気持ち悪い感触がうなじに触れ、すぐに離れた。編集長はそのまま自分の席へ戻ってしまった。彩響は目を閉じ、深呼吸をする。ブルブルと震える体を落ち着かせるには時間が必要だった。

「…主任??大丈夫ですか?顔色悪いっすよ」

何も気付いていない佐藤くんが心配そうに聞く。何回か深く息を吸って、彩響が顔を上げた。

「なんでもないよ。仕事しましょう」

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