ー無邪気な殺人鬼ー
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指切りげんまん


ウソついたら





おねえちゃんのお肉ちょうだい!!


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私は約束をしてしまった。




指切りげんまんの約束に、子どもにご飯を与える約束。




私は放課後、肉屋さんに寄った。
もらったばかりのお小遣いで、肉屋さんに寄ってそのすぐ横に、"あの子"がいるーー。



私を監視している小さな女の子。





「どのお肉が食べたい?」



この際高いステーキでもいい、と思った。

自分の命が助かるなら、高い出費も高く感じさせないモノである。

女の子が満足してくれるなら
なんでも良かったーーー。



だけど











「ちがう。
においも、見た目もちがう。

これじゃなくてねーーー、あ、アレがいい!!」




小さな女の子は、どのお肉を見ても首を縦には振らなくてーーー。



その代わり、小さな指がちがう"何か"を指していた。









えっーーーー?








「あれ?買い物?
久しぶり!!」




肉屋さんを通り過ぎた、小学生の時の同級生で悪友だったみゆきがいた。


小学生の時から変わらず、ぽっちゃりとした体型をしている。
あの頃からもう少し痩せた方がいいんじゃない?、ってずっと感じていたけど。



久しぶりに、出会うと迫力が違うーー。






「おねえちゃん」





ドキリ、としたーー。








「このひとからおいしそうな、においがする。コレがほしい!!」





やめてーー。





女の子は、みゆきの背中に触れた。


何となく気づいてはいたーー。
いや、元々気づいてはいたんだ。


女の子はーーーー。










「いただきまーす!!」









"狩りの味"を覚えてしまってからは
もうーーー普通の肉では満足出来ない事を。









大きな口が開かれてーーー、グチャ!!、と音がした。




繁華街の街中で、グチャグチャ、と食べる音。
たまにゴリ、と硬い何かに触れる音。


「何!!?
えっ!あ、あ、誰か救急車っ!!」



いや、救急車なんて間に合わないよおばさん。


誰だか分からない人の声が聞こえる。





目の前で、白い骨だけになる同級生を


私はーーーーーー







灰色の瞳で見ていたーーー。








ごめんね、みゆき。






だけど、




私、死にたくないのーーー。





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