もっと蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻への溺愛を止められない~


 しばらくして一旦サービスエリアに車を停めてくれたので、お手洗いを済ませ飲み物でも買おうと売店へ向かいます。その途中のベンチの傍で誰かとスマホで話している柚瑠木(ゆるぎ)さんを見つけました。
 せっかくなのでお話が終わるまでまって、一緒に売店に行きませんかと誘おうと思ったのです。
 ですが……

「今日は電話しないで下さいって言ったはずですよ? 今日は大事な日なんだと、千夏(ちなつ)は何度言ったらわかるんですか」

 千夏さん? 誰でしょうか、私は初めて聞く名前です。柚瑠木さんが仕事関係の方以外と電話をするなんて珍しい事ですし、相手の事を呼び捨てなのも気になりました。
 ……私は柚瑠木さんときちんと夫婦になったのに、まださん付けのまま呼ばれているのですから。

「ええ、そうです。髪飾りですよね、青い花を選んでつけてくれましたよ」

 柚瑠木さんがお話してる相手はもしかして、このヘアアクセを作った方なのでしょうか? 彼とどんな関係の女性なのかと、変に疑い不安な気持ちになってしまいます。

「……え、いいえ? そういうものですか、分かりました。じゃあ……」

 話の途中で、近くに私が立っている事に気付いた柚瑠木さん。話を続けながら私に近寄って来ると、そっと私を覗き込んで……

「もしかして、月菜(つきな)さんは今ヤキモチ妬いたりしてますか?」


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